成年後見人の業務

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≪目次≫

 

1.就任直後の業務 

2.就任中の業務 

3.終了時の業務(本人死亡の場合)

 

 

 

1.就任直後の業務

 

後見開始の審判書が届き、不服申し立てがなく2週間が経過したら、審判が確定し、後見業務が始まります。

業務を行うにあたっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません。

 

(1)本人の状況の把握・調査

 

裁判所の記録の閲覧、本人と本人にかかわる親族や関係者との面談、預貯金・不動産・負債などの財産の調査を行い、本人の抱えている問題や状況を把握します。

 

(2)登記事項証明書の取得

 

成年後見人であることの証明書として登記事項証明書を取得します。

次の(3)の後見届をする際に必要となります。

 

pdf 登記事項証明書(見本).pdf (0.16MB)

東京法務局HPより

 

 

証明書の交付申請の方法は、法務局本局(支局、出張所での取り扱いなし)での窓口申請と東京法務局後見登録課への郵送申請があります。

福岡県の場合の窓口申請は、福岡法務局本局のみとなります。

その他交付申請の方法についての詳細は、東京法務局HPをご参照ください。

 

(3)後見届

 

銀行で、成年後見人が預貯金の払戻し等ができるように、届出等の手続きを行います。

また、年金事務所、市区町村役場の各課、その他本人の関係各所から郵便物、連絡が成年後見人に届くように、届出等の手続きを行います。

 

(4)財産目録及び収支予定表の作成

 

本人の財産調査の結果をもとに、財産目録を作成し、1年間の収支の予定を立てて、収支予定表を作成します。

 

(5)裁判所への報告

 

裁判所の定める期間内(通常、後見開始から約1か月)に、財産目録と収支予定表を提出します。

 

 

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2.就任中の業務

 

適切な財産管理と身上保護に関する業務を行い、これを裁判所の定める期間内(通常1年毎)に報告するのが就任中の業務になります。

 

(1)財産管理と身上保護業務の例

 

  1. 預貯金の管理
  2. 定期的な収入(年金・障害手当金・家賃・地代など)の受領
  3. 定期的な支出を要する費用(家賃・地代・公共料金・保険料・税金など)の支払い
  4. 証書等(登記済権利証・実印・銀行印・印鑑登録カード・個人番号カードなど)の保管
  5. 介護契約・福祉サービス契約・入退院手続き・施設入所契約、それらの費用の支払い
  6. 行政官庁手続き(年金・登記申請・税金の申告など)の一切の代理業務
  7. 保険契約の締結・変更・解除、保険金の請求及び受領
  8. 不動産の売却・賃貸、住宅棟の増改築・修繕
  9. 相続関係手続き(相続の承認又は放棄、遺産分割など)

 

これらは一例です。

後見業務はこのほか多岐に渡ります。

 

(2)できない業務

 

  1. 医療行為の同意
  2. 身分行為(婚姻・離婚・認知・養子縁組・離縁・遺言)の代理
  3. 居所の指定
  4. 直接の介護や看護
  5. 身元保証・連帯保証

 

(3)本人の居住用不動産の処分

 

本人の居住用不動産を処分(売買、取壊し、賃貸、賃貸借契約の解除、抵当権の設定など)をするには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

 

(4)報酬を受けるには

 

成年後見人は、その事務の内容に応じて本人の財産の中から報酬を受けることができます。

この報酬の額は、成年後見人の申立てにより、家庭裁判所がすべての事情を考慮して決定します。

 

(5)本人と成年後見人とが利益相反する場合

 

たとえば、遺産分割協議の場面で、本人と成年後見人がともに共同相続人である場合、成年後見人に、相続人としての立場での参加と、本人の成年後見人である立場での参加の両方を認めると、成年後見人が自己が有利になるような決定をするおそれがあるため、この遺産分割協議については、本人を代理することができません。この場合、本人のために特別代理人の選任が必要になります。ただし、成年後見監督人が付いている場合は、成年後見監督人が本人を代理して遺産分割協議に参加することができるため、特別代理人の選任は不要となります。

 

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3.終了時の業務(本人死亡の場合)

 

本人の死亡によって後見は終了し、本人の財産は相続財産として、管理権限が相続人に移ります。

そして、成年後見人であった者は、相続人へ財産を引き渡すために次の業務を行います。

 

(1)相続人の調査

 

財産を引き渡すために、戸籍等を調査して相続人を探します。

 

(2)管理の計算(財産目録、収支状況報告書の作成)

 

就任時から後見終了までの全財産の収支を計算し、相続人に対して、財産変動と現在の財産を後見終了のときから2か月以内に報告します。

 

(3)後見終了の登記申請

 

後見終了後、速やかに、東京法務局に後見終了の登記申請をします。

 

(4)財産の引き渡し

 

① 遺言がある場合

遺言の内容に従って、遺言執行者等に引き渡します。

 

② 遺言がない場合

相続人に引き渡します。

相続人が複数の場合は、原則として、相続人全員に引き渡します。

 

③ 遺言がなく、相続人がいない場合

成年後見人であった者が利害関係人として、相続財産管理人の選任申立てをし、選任された相続財産管理人に引き渡します。

 

(5)家庭裁判所への終了報告

 

財産の引き渡しが完了したら、裁判所へ最終の報告をします。これで後見業務はすべて終了です。

 

(6)死後の事務について

 

成年後見人であった者に、遺体の引き取りや葬儀等の死後の事務を行う義務はなく、原則として、相続人に委ねることになりますが、民法の改正により、成年後見人であった者に、以下の行為が認められるようになりました。ただし、以下の行為をすることは成年後見人であった者の義務ではありません

 

  1. 相続財産である特定の財産の保存に必要な行為
  2. 相続財産である債務(弁済期が到来しているもの)の弁済
  3. 遺体の火葬や埋葬に関する契約、その他相続財産の保存に必要な行為(※)

 

ただし、上記権限の行使は、相続人が相続財産を管理することができるまでで、相続人が反対した場合には行使できません。

 

※ 家庭裁判所の許可が必要 

 

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