遺贈による所有権移転登記
遺贈とは、「遺言による財産の贈与」のことをいいます。遺言者は、遺言で、相続人に限らず、相続人以外の者に対しても財産の贈与をすることができます。遺贈を受けた者のことを受遺者といいます。
遺贈により不動産を取得した場合、遺贈による所有権移転登記(名義変更)をすることになります。
なお、遺言書の文言が、「遺贈」ではく、相続人に「相続させる」となっている場合は、遺贈による所有権移転登記ではなく、相続による所有権移転登記(相続登記)をすることになり、このページに記載されている手続方法とは異なりますのでご注意ください。
遺贈による所有権移転登記は、遺言執行者がいるか否かで、申請人や添付書類が変わってきます。
遺言執行者とは、遺言者の死後、遺言の内容を実現するための手続き等(不動産の名義変更や預貯金の解約など)をする人のことです。
遺言執行者がいる場合は、受遺者と遺言執行者だけで申請することができますが、遺言執行者がいない場合は、受遺者と法定相続人全員とで申請する必要があります。
添付書類の違いについては、次の「2.必要書類」の箇所をご参照ください。
遺言執行者は遺言で指定することができますが、指定されていない場合は、家庭裁判所に選任してもらうことができます。
遺贈による所有権移転登記の申請には、遺言書を添付する必要があります。
この遺言書は、公正証書や法務局に保管されていたものである場合除き、家庭裁判所で遺言書の検認手続きを受けたものでなければなりません。
当事務所では、遺言執行者の選任申立手続きや遺言書の検認申立手続きにも対応いたしておりますのでご安心ください。
以上のように、遺贈による所有権移転登記は、遺言執行者の有無によって申請人や添付書類が変わってきたり、前提として遺言書の検認手続きが必要であったりとやや複雑ですので、登記の専門家である司法書士にご相談されることをオススメいたします。
なお、遺言者の住所が、引っ越し等により登記記録上の住所から変わっている場合は、名義変更をするに先立ち、住所の変更登記手続が必要になります。婚姻等により氏名が変わっている場合も同様です。
この場合、遺言執行者又は相続人全員若しくは内1人(保存行為として)から申請可能で、かつ、受遺者からも債権者代位により申請することができます。
あわせてお読みいただきたいページ
標準的な必要書類は、以下のとおりです。事案によっては、他の書類が必要となる場合があります。
(1)遺言執行者がいる場合
- 固定資産評価証明書 又は 固定資産税の納税通知書(いずれも最新年度のもの)
- 登記済証 又は 登記識別情報
- 遺言書(公正証書の場合はその正本。自筆証書の場合は家庭裁判所の検認済証明書付きのもの)
- 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本
- 遺言者の戸籍の附票又は住民票の除票(本籍の記載のあるもの)
- 遺言執行者の選任審判書謄本(家庭裁判所で選任した場合)
- 遺言執行者の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 受遺者の住民票
※ このほか必要となる「委任状」は司法書士が作成いたします。
(2)遺言執行者がいない場合
- 固定資産評価証明書 又は 固定資産税の納税通知書(いずれも最新年度のもの)
- 登記済証 又は 登記識別情報
- 遺言書(公正証書の場合はその正本。自筆証書の場合は家庭裁判所の検認済証明書付きのもの)
- 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本
- 遺言者の戸籍の附票又は住民票の除票(本籍の記載のあるもの)
- 相続人であることを証する戸籍謄本等
- 相続人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 受遺者の住民票
※ このほか必要となる「委任状」は司法書士が作成いたします。
(注)
住所又は氏名の変更登記手続が必要な場合は、上記の書類とは別に、住所や氏名の変更を証明する住民票や戸籍謄本などが必要です。詳しくは、所有権登記名義人表示変更(住所、氏名の変更)のページをご参照ください。
当事務所にご依頼いただいた場合の手続の流れは、概ね以下のとおりです。
(1) ご相談、お見積もり
ご相談をご希望のお客様は、事前に電話又はお問い合わせフォームよりご予約をお願いいたします。
初回のご相談(90分まで)及びお見積もりは無料です。
■ ご相談の際にお持ちいただきたい書類
上記「2.必要書類」を参考に、お手元にある書類があればそれをお持ちください。何もお持ちいただかなくてもご相談には差し支えありません。
なお、固定資産評価証明書又は固定資産税の納税通知書(いずれも最新年度のもの)をお持ちくだされば、その場で登録免許税(登記申請に際し、納める税金)の算出ができます。
(2) 必要書類の準備・収集
上記「2.必要書類」を参考に、必要書類をご準備ください。
手続に必要な戸籍、住民票等は、当事務所が代わりにお取り寄せすることもできます。ご遠慮なくお申し付けください。ただし、印鑑証明書については、ご自身でご用意をお願いしております。
(3) 登記手続書類へのご署名ご捺印等
司法書士が作成する委任状にご署名ご捺印等をしていただきます。
(4) 法務局へ登記申請手続
管轄の法務局へ登記申請いたします。登記申請手続は、すべて司法書士が代理して行いますので、お客様に法務局に足を運んでいただくことはありません。
(5) 登記完了書類のお渡し
法務局や申請時期により異なりますが、概ね1週間前後で登記が完了します。登記が完了しましたら、法務局から交付される登記完了書類(登記完了証、登記識別情報、登記事項証明書)をファイルに整理してお渡しいたします。
手続に必要となる費用は、以下のとおりです。
(1) 実費(主なもの)
- 登録免許税 不動産の固定資産評価額の2%(※)
- 戸籍謄本 1通450円
- 除籍・改製原戸籍謄本 1通750円
- 住民票・戸籍の附票 1通300円前後(市町村によって異なる)
- 不動産の登記事項証明書 1通480円~(枚数や請求方法によって異なる)
※ ただし、受遺者が相続人で、相続人であることを証する戸籍謄本等を添付した場合は、不動産の固定資産評価額の0.4%
(2) 司法書士報酬(金額は全て税込表示)
52,800円~
遺贈による所有権移転登記手続に関する報酬については、上記金額を基準(最低額)とし、ご依頼の内容(不動産の固定資産評価額、不動産の数、当事者の数など)に応じ、加算させていただいております。
【上記司法書士報酬に含まれない業務の報酬】
- 戸籍謄本、住民票等の交付請求 1通1,100円
- 登記事項証明書の交付請求 1通1,100円(ただし、登記完了後に取得する登記事項証明書は、各不動産各1通までは無料)
当事務所では、ご依頼をいただく前に必ずお見積もりをいたしております。ご依頼するかどうかはお見積もりを確認してからお決めください。
遺贈による所有権移転登記のことで分からないことやご相談事がございましたら、ご遠慮なくお電話又はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
費用のこと、必要書類のこと、手続にかかる期間のこと、どんなことでも結構です。「こんなこと聞いても大丈夫かな?」と思うようなこともご遠慮なくお問い合わせください。
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